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乳腺腫瘍

乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍とは

犬の乳腺は左右対称に5対あります。

乳腺腫瘍はその乳腺の細胞が腫瘍化したものです。


乳腺腫瘍は犬の腫瘍の約半数を占めるといわれ、乳腺腫瘍の発生は10~11歳で多く見られます。


乳腺腫瘍には、上皮細胞が腫瘍化したものと結合組織が腫瘍化したもの、また両方が混ざった混合タイプがあります。

具体的には、良性腫瘍であれば腺腫や線維腺腫、上記の混合タイプである良性混合腫瘍など、悪性腫瘍であれば腺癌や悪性混合腫瘍などが挙げられます。

犬の乳腺腫瘍は悪性腫瘍が約半分といわれています。

なお、悪性か良性かについては腫瘤または乳腺を切除した後で病理組織検査に出さないと分かりません。


また、乳腺腫瘍には、炎症性乳癌といって通常とは症状や治療方針が異なるタイプのものもあります。

犬の乳腺腫瘍の症状

単一または複数の乳腺に、単一または複数のしこりがみられます。しこりは数mmから数cmで、放っておくと腫瘍がかなり巨大になる犬もいます。

硬く丸く触れる腫瘍もあれば、ぼこぼことして境界がはっきりしない腫瘍もあり、皮膚を動かせば一緒に動くものと皮膚を動かしても体に付着したまま動かないものがあります。

また、乳腺の中にあるものや乳頭のすぐ下に発生しているものなどさまざまです。


乳腺腫瘍はまずリンパ節(免疫細胞が集まる場所)や肺に転移することが多く、リンパ節に転移すると普段触れないほどのリンパ節が触れるほどに大きくなります。

肺転移を起こすと胸水がたまるなどして、呼吸が早くなる、荒くなる、呼吸困難になるなどの症状も現れます。

犬の乳腺腫瘍の原因

乳腺腫瘍の明確な原因は分かっていません。


しかし、未避妊の雌犬で年齢が上がるにつれ発生率が多くなることや、発情前、または2回目の発情より前に避妊手術を行っていると乳腺腫瘍の発生率が低くなることから、性ホルモンが関わっていると考えられています。


乳腺腫瘍の検査は以下のようなものが挙げられます。


<乳腺腫瘍の検査>

・触診(乳腺やリンパ節)

・FNAによる細胞診※1

・X線検査(特に胸部)

・超音波検査

・病理組織検査※2

など

※1腫瘍やリンパ節に針を刺し、採れた細胞を顕微鏡で観察する

※2手術で切除した腫瘍の塊から標本を作り、腫瘍の種類などを調べる

犬の乳腺腫瘍の予防方法

乳腺腫瘍の明確な予防方法はありませんが、避妊手術により乳腺腫瘍の発生率が低くなるという報告があります。

発情前の避妊手術が最も発生率が下がり、2回目の発情期以降や2歳を過ぎてからの避妊手術は悪性の乳腺腫瘍の発生率はあまり変わらないとされています。

ただし、2回目の発情期以降や2歳を過ぎての避妊手術でも良性の乳腺腫瘍であれば発生率は下がるといわれています。


また、乳腺腫瘍の経過に影響する因子として治療時の乳腺腫瘍の大きさが関係します。もちろん腫瘍の悪性度により小さくてもすでに肺転移を起こしている場合などもありますが、悪性の乳腺腫瘍の大きさが3cm以上だと経過が悪い傾向にあるといわれおり、早期発見・早期治療が重要になります。

犬が乳腺腫瘍になってしまったら

内臓への転移や炎症性乳癌でなければ、乳腺腫瘍の治療での第一選択は外科的切除です。


切除の範囲は腫瘍の範囲、大きさや形、年齢、傷の大きさ、良性の可能性か高いかなどさまざまな面から考慮されます。

切除の方法として、腫瘤のみの切除や、部分的乳腺切除(単一または複数の乳腺を切除する)、片側乳腺全切除(片側の乳腺を全て切除する)、両側乳腺全切除(全ての乳腺を一度に切除する)があります。リンパ節への転移が疑われる場合や、一番後ろ側(尾側)の乳腺を切除する際はリンパ節も取ります。


未避妊の雌では、乳腺切除と同時に子宮卵巣摘出術(避妊手術)もすすめられます。乳腺切除と同時に子宮卵巣摘出術を行うことで、その後の乳腺腫瘍の再発抑制に対する有効性は明らかには示されていませんが、将来の生殖器疾患(子宮蓄膿症など)や乳腺腫瘍の抑制を期待して行います。


また、化学療法(抗がん剤など)は手術後に補助的に行われることがあります。乳腺腫瘍に対する化学療法については有効な抗がん剤や方法などは確立されていません。


手術後も再発がないかを触診で確認していきます。


乳腺腫瘍は乳腺を丁寧に触ることで早期に発見することも可能です。定期的に体を触るなどチェックを行って早期発見し動物病院を受診しましょう。


なお、冒頭で紹介した炎症性乳癌については、治療方針が上記とは異なります。


炎症性乳癌を詳しく説明すると…

炎症性乳癌とは乳腺腫瘍のひとつで、劇症の乳腺腫瘍です。


症状:炎症性乳癌では、乳腺が硬く腫れあがり、発赤、熱感、痛み、潰瘍(かいよう)などを伴い急速に成長します。足が腫れる犬もいます。他の臓器に転移する確率も高く、診断時に既に転移している例も多くみられます。


治療:通常の乳腺腫瘍では外科的切除が行われますが、炎症性乳癌では外科手術を行うと、手術で切った部分の傷がくっつくことなく大きく開いたままになってしまったり、再発したりすることも多いので、外科手術は推奨されていません。有効な化学療法(抗がん剤など)も報告されていません。

炎症性乳癌では、炎症に関わるCOX-2(コックスツー)という酵素が多くみられることから、COX阻害薬(消炎鎮痛剤)であるピロキシカムが生活の質の向上のために使用されることがあります。


経過:炎症性乳癌の経過は悪く、診断からの余命は数日から数か月の報告があります。

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